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それ以上でも以下でもない。

「一番じゃなくてもいいから傍にいさせて」って言ったのは嘘だったし「嘘でもいいから今だけ愛して」って言ったのも嘘だった。私は自分でそれに気付いていたくせに、気付かないふりをしていただけだった。たとえ相手が本心で言っていたとしても、嘘ってことにして自分を守っていたんだ。

愛されるのが怖い。いつか嘘に変わってしまうことが怖い。愛しているだとか、ずっと一緒にいようだとか、そんな風に言ってくれた記憶が今も私を苦しめる。傷つくのが厭で暗がりに逃げ込んだのに、ずっと追いかけてくるのだ。いつしか私は、そんな優しい言葉たちを信じることが出来なくなっていった。誰かの二番目になることも増えていって、テキトウな誘いに流されることも多くなって、でも何をされても嫌いになったり離れたりなんて出来ないから、反対に大切にされてると感じることは減っていって。本当に慈しみをもって接してくれた人の言葉まで信じられなくなって、自分で自分を守るように、割り切ったような言葉を口にするようになった。本心では私だけを見て欲しい、何度も繰り返し愛していると言って欲しいと思っていたのに、私はそれに蓋をしてしまったんだ。それらは自分を傷つける、ある種の精神的な自傷行為でしかなかったけれど、腕を切っていた頃と同じようにそれが必要なことだって言い聞かせながらなんとか私は私を守っていたのだ。

嘘でもいい、二番目でもいい、そんな盾を構えて聞く優しい言葉たちはみんなぞんざいな嘘っぱちに聞こえてしまって、(ああ、ひどいことしてるな)っていつも感じていた。仮に本当に愛されたとしたって自分が同じように相手を愛せる訳でもないのに、手を伸ばされたらにこにこ笑って「ありがとう」「私もだよ」ってその手を取る。そのたびに、心が濁っていく気がした。限界だって言って飛び降りられたら楽なのにな。誰と居たって何をしていたってどこか醒めていて、(ああ、クソみたいだな)ってお酒を飲むたびに思うんだ。結局そうやって言ってくれる人、手を伸ばす人は私を大切にしてくれるわけでもなくて、私は私で一人で大概のことが出来てしまうし、それを二人分やることも苦ではないし、なんでもやってあげてしまうからだんだんそれが当たり前になって、私も耐え切れなくなって、全部ダメになってしまう。「あなた以上の人はいない」なんて言われることも少なくないけど、じゃあなんでもう少し私を理解してくれないのって、傲慢な感情が噴き出して、それをまた抑え込む。

そうやって心が少しずつ爛れて、もう何が本当で何が嘘かもよくわかんなくなってんだよな。全部なにもかも信じてみたい時が本当に時々あって、本当はいつも望んでいて、なんかそういう夜があって順番を間違えちゃって下手に進めなくなってるのが今の現状で、もうわかんねぇよ。私はあなたが怖いよ。何考えてるのかわからないもの。別にいいんだ、それは。なんだっていいしどうでもいいし。幸せになりたかったな。もう無理だろうな。私の人生なんだったんだ。高校生の頃の夢は幸せな家庭だった。好きな人と一緒になって、子供を作って家族で幸せに暮らそうって、バカみたいに本気で望んでいた。本当にバカだ。大バカ野郎だ。願ったって望んだって手に入らないようなものものばっかり欲しがるんだ。手に入らないから欲しがるのかな。厭だな。最低だ。

一瞬の幸福のために誰かを利用するようなマネするのも厭だし、かといって誰かに利用されてるってわかっていても拒んだりしない。本気になって傷つくのも厭だし、本気になられて傷つけるのも怖い。なんか欠落してないかな。どこで落としたのかな。探してみたって見つけられるのは傷だらけな上に汚れきった自分の体を映している鏡だけ。もう直視するのも憚られるような、血みどろの体しか見えなくて、実際直視なんてできなくて、目を背け続けているんだよ。どクズが。ああ、寒いなぁ。

愛するのが怖いって話もしようと思ったけれど、長くなったし悲しくなったからもういいや。今度にしようね。

だから今夜はいい子でおやすみ。夢の中でくらい、幸せでいたいなって、今は思う。